金属ディスクカップリングの伝達トルクアップ

技術の内容  金属ディスクのカップリングのアダプターハブ構造と反転ハブ構造との両方の構成についてそれぞれ見直します。特許第5903737号たわみ板フランジの一体構造及び円筒部構造体、それを用いたたわみ板及び板ばね式フレキシブルカップリング及びそれを備えた機械装置の発明は、たわみ板を挟んだ両側に一体化されたクランプワッシャーを有するたわみ板フランジを配置するもので、且つたわみ板フランジのストレート穴内に六角穴付段付ボルトの頭部を密に収納するものです。たわみ板の厚さTnは0.45d(d:たわみ板用のボルトの径)≦Tn≦0.52dと改訂(特許第6481956号参照)されています。従来の一体化されたクランプワッシャーを有するたわみ板フランジは銑鉄(Pigiron)を素材とすることで知られています。
 特許第6205655号改良インテグラルフランジ、それを用いた薄板金属ディスクのカップリング、それを備えた機械装置の発明は、たわみ板を挟んで両側に配置したたわみ板フランジをたわみ板の片側に一体のクランプワッシャーを有する統合配置されたたわみ板フランジ(Integral flange)として改良されたものです。単なる主軸端にフランジを一体成形したものは、従来よりインテグラルフランジ(アダプターハブ構造)と呼ばれ、たわみ板を挟んで両側に配置された各たわみ板フランジのうち軸方向外側の外フランジ(たわみ板フランジの外径と一体)のさらに軸方向外側に隣接配置されボルト締結されていました。
 特許第6481956号たわみ板及びたわみ板組込み方式、それを用いた薄板金属ディスクのカップリング、それを備えた機械装置の発明は、16本ボルトのたわみ板の平面形特定に関するもので、金属ディスクのカップリングの大きく採れる伝達トルクと芯違い吸収と相互に関連する性能を有しています。許容平行偏心を含む許容偏角は0.15°と小さいので、必要最小限の平行偏心を確保するには最小限の中間軸(3分割方式)の長さ延長が必要となります。12本ボルト及び10本ボルトのたわみ板の平面形特定は援用が可となります。特許第6596762号たわみ板及びたわみ吸収構造、それを用いた金属ディスクのカップリング、それを備えた機械装置の発明は、6本ボルトのたわみ板の平面形特定に関するもので、金属ディスクのカップリングの伝達トルクと特に大きく採れる芯違い吸収と相互に関連する性能を有しています。16本ボルトのたわみ板平面形と6本ボルトのたわみ板平面形とは区別された特定となりますが、たわみ板用のボルトピッチ円直径Dとボルト径dとの比D/dの値は統一した値が採用されています。
製品イメージ  許容偏角0.75°の反転ハブの金属ディスクカップリング
6本ボルトのたわみ板を用いたわみ板フランジ外径Φ71~Φ500の範囲に15サイズが設定できます。
 許容偏角0.75°のアダプターハブの金属ディスクカップリング
6本ボルトのたわみ板を用いたわみ板フランジ外径Φ160~Φ500の範囲に11サイズが設定できます。
 許容偏角0.4°の反転ハブ及びアダプターハブの金属ディスクカップリング
10本ボルトのたわみ板を用いたわみ板フランジ外径Φ160~Φ500の範囲に各11サイズが設定できます。
製品のお客様イメージ  一体のクランプワッシャーを有する各たわみ板フランジをたわみ板の片側に統合配置した型式は、アダブターハブ(ハブを構成に持たないがアダプターハブ構造と見なす場合を含む)適用の場合と反転ハブ(ハブを構成に持たない場合は客先からの要求が必要です)適用の場合とがあります。
 許容偏角0.28°のアダプターハブ適用及び返転ハブ適用の金属ディスクカップリング12本ボルトのたわみ板を用いたわみ板フランジ外径Φ250~Φ900の範囲にそれぞれ12サイズが設定できます。
 許容偏角0.15°のアダプターハブ適用及び反転ハブ適用の金属ディスクカップリング16本ボルトのたわみ板を用いたわみ板フランジ外径Φ355~Φ900の範囲にそれぞれ9サイズが設定できます。
 アダプターハブ適用は、外フランジを主軸端に一体成形する場合とハブを構成に持つ場合とがあり、特許第6481956号の図1を用い説明します。外フランジを主軸端に一体成形する場合は、主軸外フランジ10aにフランジ11eを組付けるのに主軸外フランジの案内径11cとフランジ外フランジの案内内径11gとで中間ばめを採用し、ボルト18のボルト径d/2(d:たわみ板用のボルトの径)のフランジ外フランジ11kの穴径と主軸外フランジ10aの穴径とのはめ合いは、中間ばめとすき間ばめとを用います。ボルト18のボルト径d/2と主軸外フランジ10aの穴径とのすきまばめの程度及び案内径11cの主軸外フランジとフランジ外フランジ11kとの間へのシム適用についてカップリングメーカーは、装置メーカーと打合せし承認を得て図面提出します。アダプターハブを構成に持つ場合カップリングメーカーは、アダプターハブが図1主軸径11bをアダプターハブのボス径と見なしハブ形状に従って全機械加工します。主軸メーカーが軸穴仕上げする時は軸径下穴までの加工となります。アダプターハブの主軸への焼きばめは装置メーカーが行い、以後外フランジを主軸端に一体成形する場合及びハブを構成に持つ場合とも同様工程で主軸端間への組立が進められます。カップリングメーカーは、フランジ11eと分割スペーサー12aとをたわみ板を含む連結部金物Jnを用い連結仮組みし、たわみ板フランジ11fと12bとでガギング(Gagging)後たわみ板用のボルト14と座付回り止めナット17とを本締結し出荷します。反転ハブ適用は、特許第6481956号図3を用いハブを構成に持つ場合について説明します。図3の主軸たわみ板フランジボルト穴21cの位置精度は、図1主軸外フランジ10aのボルト18穴の位置精度より厳しくなるのでハブを構成に持つ型式が優先されます。主軸とハブとの締結は通常キーが用いられますが、結合を強化する時はインボリュートスプラインを用いて焼きばめすることを推奨します。反転ハブの主軸への焼きばめは装置メーカーが行い、カップリングメーカーは分割スペーサー22aへたわみ板を含む連結部金物を仮組みし出荷します。装置メーカーは、出荷前に反転ハブのたわみ板フランジ21aにたわみ板23nを含む連結部金物Jnを用いた分割スペーサーたわみ板フランジ22bを連結仮組みし、カップリングメーカー同送のガギング拘束金具でたわみ板フランジ21a及び22b間を拘束後、ボルト24とナット27とを本締結してから現地へ出荷します。
 アダプターハブの適用は、伝達トルクに比べて主軸径大、駆動側と被駆動側との軸端間の熱膨張による軸方向変位小等から選ばれます。アダプターハブの適用を優先させる場合、たわみ板の組合せは12本ボルト及び16本ボルトのたわみ板が適しています。金属ディスクカップリングの現地据付はシム適用から始めます。アダブターハブへのシム適用については、前記特許第6481956号図1で示した主軸外フランジの案内径11cとフランジ外フランジの案内内径11gとの中間ばめを用いて主軸外フランジ10aとフランジ外フランジ11kとの間隙2ヶ所に0.5mm厚のシムを0枚~8枚の範囲で位置調整することです。通常シム各2枚装入は事前に準備したフランジ11eと分割スペーサ12aとのガギング拘束組立品を宙吊りした状態で一諸にはめ込みボルト18と回り止めナット19とで仮組み後本締めします(2ヶ所)。中間軸22iは外フランジ12h間に宙吊りし異状ないことを確認後片側面のみボルト18と回り止めナット19とで仮組み後本締めします。残りの片面側のボルト18と回り止めナット19との仮組み後本締めは、必ずたわみ板フランジ11fと12bとの拘束用途に用いた金具を取り除いてから実施して下さい。反転ハブと適用は、伝達トルクに比べて主軸径小、駆動側と被駆動側との軸端間の熱膨張による軸方向変位大等から選ばれます。反転ハブの適用を優先させる場合、たわみ板の組合せは10本ボルト及び12本ボルトのたわみ板が適しています。16本ボルトのたわみ板は適用可能ですが、現時点ではアダプターハブ構造優先で進めるため一時保留とします。金属ディスクカップリングの現地据付はシム適用から始めます。反転ハブへのシム適用については、軸端間の熱膨張による軸方向変位大となる場合のたわみ板をプレストレッチ(pre-stretch:たわみ板を挟んだたわみ板フランジ間を前もって一定量拡げる)することで区別して考えます。前記特許第6481956号図3では図示されていませんが図1で説明した外フランジの案内径11cとフランジ外フランジの案内内径11gとのはめあいに用いる案内部は、図3分割スペーサー外フランジ22fと中間軸22iとの内径部にも設ける必要があります。案内部を設けた分割スペーサー外フランジ22f面間に確認のため中間軸外フランジ22j両面を装入保持すると、分割スペーサー外フランジ22f面間と中間軸外フランジ22j両面との間隙は2mm(標準シム4枚の厚さ)+プレストレッチ量となります。プレストレッチ量は装置メーカーが事前調査しカップリングメーカーに指定します。カップリングメーカーはシム適用とは別にプレストレッチ量を事前に知っておきます。
 定格運転時ディスクカップリングの許容軸方向変位又は許容偏角の値は、許容値中央近くで安定していることが大切です。スラスト軸受の位置がハウジングキングピンの位置と大きく異る反転位置となる長尺蒸気タービン主軸が用いられる場合について説明します。蒸気タービンは定格運転前の起動時に無負荷低速(たわみ板のトルク応力及び遠心応力は大きくならない)での暖気運転が行われます。タービン主軸の熱膨張は、急激に大きくなり-100%の許容軸方向変位に達する場合(過渡的であれば-140%の許容軸方向変位まで許容される)がありますが、この様な場合前記プレストレッチが適切に行われ暖気運転中に主軸熱膨張を相殺するハウジング熱膨張が始まります。前記図3たわみ板フランジ21aの軸方向位置は、たわみ板フランジ22bの軸方向位置とほぼ一致したわみ板は、プレストレッチなしの中立位置に戻ります。通常この状態で定格運転は開始され、定格運転停止後のクーリングダウン運転についても同様のことが言えます。
実施許諾対象企業イメージ  本発明は、動力伝達分野(100~100,000kw程度)へ投入できる製品であり、機械要素関係の企業殿、機械・電気装置関係の企業殿、新製品企画関係の企業殿等が対象企業として考えられます。製品の具現化は、ベンチャー企業としての入り方が一般的ですがある程度のリスクを伴います。製品の具現化に要する期間は着手後3年程度を要しますが、当方が協力できるのは1年6ヶ月程度までです。前もってご承知下さい。

各技術の詳細

出願番号
特願2015-138358
公開番号
特開2016-138652
登録番号
特許5903737
出願番号
特願2017-023757
公開番号
特開2018-105498
登録番号
特許第6205655
出願番号
特願2019-047936
公開番号
特開2020-148301
登録番号
特許6596762
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