単純な構成で、近距離測定が可能な距離測定装置


電波を利用した距離測定装置としてレーダがよく知られている。レーダは自らの送信波が受信部に直接漏れ込まない様な配慮が不可欠であるが、送受信アンテナが近いあるいは、アンテナを送受共用することから、漏れを十分に阻止することは現実的に困難である。この漏れは、あたかも至近距離に目標があり、そこから反射されてきた波であるかの様に認識される。よって、実際に近距離に目標があった場合の反射との見分けがつかず、これが近距離の測定が難しいことの主な原因である。しかし、この漏れを積極的に利用することにより、数m以内の近距離でも測距可能なレーダがある。具体的には送信周波数をステップ状に切り替えながら、送受信信号を分離せず、その干渉によって生じる定在波を各周波数毎に観測し、測距を行なうものである。しかし、測定対象物の移動速度が速い場合はドップラー効果により正しい距離を測定するのが困難であるという問題点を有している。本発明は、同様に送信波の漏れを積極的に利用するが、特定の帯域幅内において異なった複数の周波数成分を有する信号、あるいは周波数を連続的に変化させた信号を送信し、測定対象物からの反射波と送信波を分離せず、その干渉によって生じる信号強度の変化を周波数分析することによって測距を行なうものである。これにより上記の問題点を解決し、構成が非常に簡素で低コストなレーダが実現できる。
ユーザー業界 活 用 ア イ デ ア
機械・加工
機械・加工
輸送
輸送
漁船等の自動接岸装置
  ○船舶に設置し自動操舵装置と連動させて接岸作業の負担を軽減させる
  
機械・加工
機械・加工
輸送
輸送
自動車自動操縦装置
  ○相互に移動する車間距離を測定できる機能を応用して自動車の自動操縦装置に組み込む
  
生活・文化
生活・文化
ゴルフ場の進行管理
  ○ゴルフカート間の距離を測定して打ち込みまたは離れ過ぎを防止してゴルフ場の経営効率を上げる

関連特許 なし
特許情報 ・実施段階:実施有り
・技術導入時の技術指導:有り
・ノウハウ提供:有り
・供与条件:許諾のみ
market potential 本発明のもつ特長は、測定装置の構成が単純であること、数m以内の至近距離の測定が可能であること、ドップラー効果による影響を受けないことから速い速度で移動する測定対象物や測定装置が移動する場合にも精度よく距離を測定できることである。装置の構成が単純であることから自動車等に積載した測定装置により目的に応じて移動できる測定装置や、測定対象物が移動する場合の距離の測定、更には移動体間の距離の測定装置等その応用の範囲は広いと考えられる。この結果、単なる距離測定のみでなく、この装置の特長を活かした、安全対策、自動化装置への応用が考えられ、この装置を応用した商品を市場化した場合のマーケットの顕在、潜在的なポテンシャルは大きいと考えられる。例えば、車載装置として人または障害物の検知とその距離の測定による衝突防止装置、無人地帯に設置してがけ崩れ等の崩落検知装置等の応用が考えられる。


タイトル
(ライセンス情報)
距離測定装置、及び距離測定方法

特許権者 財団法人雑賀技術研究所

ライセンス情報番号 L2008005082

お問い合わせ先

財団法人雑賀技術研究所
技術開発部 センシング技術研究室
主幹研究員 上保 徹志  

〒 640-8341
和歌山県和歌山市黒田75−2
TEL:073-474-0860  FAX:073-474-0862
E-mailAddress:
     uebo@saika.or.jp





出願番号 特願2006-054485

公開番号 特開2007-093576

特許番号 特許4293194

権 利 存 続 期 間 16年6ヶ月(平38.3.1)

権利化情報  出願日/平18.3.1 公開日/平19.4.12 登録日/平21.4.17

用語解説 
ドップラー効果 音波や光波等の波の発生源と観測者の相対的な速度によって、波の周波数が異なって観測される現象
スペクトル 複雑な情報や信号をその成分に分解し、成分に対する強度の分布を示したもの
干渉 2つ以上の信号が重なり混合波となった場合、含まれる信号の位相により混合波の信号強度が変化する現象
定在波 同一周波数の信号の干渉により生じる信号強度の分布で、位置に対して半波長の周期をもち時間的に変化しない

参考情報 

・特許流通アドバイザーによる推薦
・IPC:G01S 13/38

原稿作成 
原稿作成:青山 進  有限会社青山技術士事務所 PDF