形状記憶合金を使った触覚情報伝達手段


主に視覚障害者のために、偏芯モータや圧電素子を使った触覚情報伝達装置、つまり点字の代替手段としての装置はこれまでも発表されている。また、アクチュエータとして形状記憶合金の温度差による変形を利用した同様の装置もなくはなかった。しかし、これらは何れも装置全体が大きい上、振動が不快感を与える、あるいは応答が遅くて実用的でない等、何らかの問題があった。本発明はそういった課題に対して、非常に小さなアクチュエータとして大きさが僅か5mmの円盤状の絶縁体に径が50μ長さが5mmという形状記憶合金のワイヤを馬蹄形にしたものを取り付け、電流を流すことによる温度変化でこのワイヤが伸縮して馬蹄形が変形することで人体に振動刺激を与えられるという構造を提案している。このワイヤに適切な周期のパルス電流を流すことでもっとも人体に適切な刺激が与えられ、且つ離れて配置された2つのアクチュエータに強さを変え、あるいは時間差をおいてパルスを加えることで刺激点が移動する感じを与えられるということの発見から、アクチュエータをマトリクス状に配列し、あたかも文字を一画ずつ書いているような感覚を与えることも提案されている。現在電子回路は非常な小型化が可能であるため、そもそも消費電力が少なくて済むこのアクチュエータを使った装置全体も極小型にできるので、単に視覚障害者のためだけでなく、さまざまな用途展開が考えられる。
ユーザー業界 活 用 ア イ デ ア
電気・電子
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情報・通信
情報・通信
生活・文化
生活・文化
小型軽量の点字出力装置
  ○指と同じくらいの大きさの点字出力装置が実現できる
  
  
電気・電子
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情報・通信
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その他
その他
視覚障害者用文字情報出力装置
  ○掌に文字を書く代わりにこのアクチュエータを使い文字情報出力機が作れる
  
  
電気・電子
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輸送
輸送
視聴覚に依存しない操作指令伝達装置
  ○操作ハンドル等に埋め込んで光・音に頼らない触覚による指令装置を作れる
  

関連特許 なし
特許情報 ・実施段階:試作段階
・技術導入時の技術指導:応相談
・ノウハウ提供:応相談
・供与条件:許諾のみ
market potential 既に偏芯モータ等の振動素子を使った視覚障害者用の体表点字システム、触知覚通信手段等が発表されているが、装置が大型なので例えば携帯メールの出力等簡単に使えるものであるためには本発明の様な小さく且つ確実に情報が伝えられるデバイスの用途として非常に有望な分野である。また、視覚、聴覚以外の感覚刺激による情報伝達は、音や光が出せないところでの指令情報や危険を知らせる非常通信手段として、更には医療用のシミュレーションやゲーム等、視聴覚障害者以外の健常者に対しても様々な分野で応用可能な技術である。細く小さな形状記憶合金が主体であるために応答速度が非常に速くまた消費電力も僅かであることから、こういった様々な装置は小型化が可能であり、また情報の送信側も単なるパルス列の形成だけですむため、電源を含めたシステム全体の小型軽量化は容易であり、ここに例示した以外の幅広い用途開発が考えられる。


タイトル
(ライセンス情報)
形状記憶合金の機械振動を情報伝達手段とする触覚による情報伝達装置

特許権者 株式会社エスシーエー

ライセンス情報番号 L2008003083

お問い合わせ先

株式会社エスシーエー
代表取締役
内田 啓治  

〒 763-0082
香川県丸亀市土器町東7−866
TEL:0877-22-3110  FAX:0877-22-3955
E-mailAddress:
     uchida@jp-sca.com





出願番号 特願2006-130824

公開番号 特開2007-048268

特許番号 特許4291830

権 利 存 続 期 間 16年8ヶ月(平38.5.9)

権利化情報  出願日/平18.5.9 公開日/平19.2.22 登録日/平21.4.10

用語解説 
偏芯モータ(振動モータ) 小型DCモータにわざと重心をずらせた錘をつけたもの。携帯電話のバイブレータに使われている
パルス 通常電子回路では矩形波のことをいう
オン・オフデューティ 矩形波のオンの時間とオフの時間との比率

参考情報 

・特許流通アドバイザーによる推薦
・IPC:G06F 3/01

原稿作成 
原稿作成:吉田 邦雄  システム・インテグレーション株式会社 PDF