加工食品の原料植物の品種を高精度・迅速・簡便に判定する方法


本発明は、加工食品、特に植物を原料に含む加工食品の原料品種を高精度・迅速・簡便に判定する方法に関するものである。植物のゲノム中には、転移因子が存在する。これは染色体上のある部位から別の部位へ転移する能力、あるいは、進化の過程で染色体上を転移したことが示されたDNA配列である。自然界の突然変異の約70〜80%は転移因子が原因とされる。レトロトランスポゾンは転移因子の一種で、転移により一旦挿入された配列は安定的に遺伝する。植物ゲノムには進化の過程で生じた配列が多数存在するが、多くは転移活性を失っており、また多数の複製配列はゲノム中に散在しているため、優れた遺伝子マーカーとなる。例えば、玉蜀黍のゲノムの80%、小麦の90% はレトロトランスポゾンが占める。したがって、判定対象植物品種のゲノムの特定部位にレトロトランスポゾンが挿入されているか否かを、加工食品から抽出したDNAを鋳型とするPCR産物を用いて調べれば、原料植物品種の判定が可能となる。増幅産物の長さが短くなるようにも設定できるので、加工食品から抽出したDNAが高度に断片化されていても正確な判定が可能である。すなわち、本技術は植物ゲノムにレトロトランスポゾンが存在するか否かだけを検出するので、DNAが極めて微量でも、DNAが劣化していても、原料植物の品種を判定できるのである。
ユーザー業界 活 用 ア イ デ ア
食品・バイオ
食品・バイオ
食品検査システム
  ○食品分析センター、保健所、税関、などに検査システムを設置する
食品・バイオ
食品・バイオ
生活・文化
生活・文化
種苗育種検査システム
  ○種苗育種検査に用いることによりデータが蓄積され、社会秩序形成のための手法となりうる
  
化学・薬品
化学・薬品
食品・バイオ
食品・バイオ
生活・文化
生活・文化
生物医学検査システムへの応用
  ○ゲノム中のレトロトランスポゾンを検出する方法は、微生物や一部動物細胞にも応用可能と思われる
  
  

関連特許 なし
特許情報 ・実施段階:試作段階
・技術導入時の技術指導の有無:有り
・ノウハウ提供:有り
・ライセンス制約条件について:譲渡または許諾
market potential 植物の新品種育成者の権利は、植物品種保護制度が整備され、国際的にも保護されている。ところが、近年、国内の農業研究機関などが開発した新品種の農作物を許可なく海外で栽培し、加工食品として輸入するといった不正行為が増加しており、国内の農家を圧迫するという問題が生じている。また、消費者保護の観点から、加工食品の原料の不正表示を防止することも重要な課題となっている。しかしながら、加工食品の原料に使用されている植物の品種を判定する技術は未だ開発されておらず、加工食品の原料品種を鑑定する実用化技術の開発が待ち望まれている。本発明は、加工食品の原料品種の判定を正確かつ簡便にできるものであり、食品産業、農産物、育苗育種分野などに広く利用できる。さらに、食品の不正表示や、海外で不正栽培された品種を原料とした輸入加工食品等の検査に利用すれば、違法食品の取り締まりに大きく貢献できると期待される。


タイトル
(ライセンス情報)
加工食品の原料品種判定方法

出 願 人 国立大学法人 岡山大学

ライセンス情報番号 L2006000369

お問い合わせ先

財団法人岡山県産業振興財団 岡山TLO
岡山TLO
 上田 文明

〒 701-1221
岡山県岡山市芳賀5301
TEL:086-286-9711  FAX:086-286-9706
E-mailAddress:
fueda@optic.or.jp




出願番号 特願2005-187107

公開番号 特開2006-042808

特許番号 出願中

権 利 存 続 期 間 出願中

権利化情報  出願日/平17.6.27 公開日/平18.2.16 登録日/出願中

用語解説 
PCR Polymerase Chain Reaction(ポリメラーゼ連鎖反応)、特定DNA断片を増幅する
DNA Deoxyribonucleic acid(デオキシリボ核酸)の略、高等生物の遺伝情報を担う物質
レトロトランスポゾン 真核生物のゲノム内に普遍的に存在する可動遺伝子。玉蜀黍ゲノムの80%、小麦の90% を占める

参考情報 
・特許流通アドバイザーによる推薦
参照可能な特許流通支援チャート
    :14年度 化学9 バイオチップと遺伝子増幅技術

原稿作成 
梶谷 浩一  株式会社テクノソフト PDF