草炭より抽出したフミン酸にアクリロニトリルをグラフト重合させた後、加水分解させて吸水性材料を得る


従来の吸水性材料、例えばパルプ、綿布、でんぷん、ゼラチン、あるいはウレタンなどの給水能力は自重と同程度かせいぜい数十倍程度であり、また外圧によって容易に押し出されてしまっていた。そのため昨今では架橋系の吸水性高分子が開発され市場を伸ばしている。しかし草炭を用いた吸水性高分子は構造や含有量の違いから工業的には利用されていない。一方、地球環境保全の目的で、砂漠の緑化が推進されており、砂地に混合する吸水性材料が必要とされている。本発明によれば、価格が安い草炭をアルカリ処理し、フミン酸を抽出した後、アクリロニトリルをグラフト重合し、さらにこれを加水分解することで、市販の吸水性ポリマーに匹敵するほど(吸水倍率100以上)の性能を示す吸水材を合成することができた。草炭の吸水倍率は2〜5であり、アクリロニトリル重合体の吸水倍率が0.2〜3であることから、本発明のプロセスにより生成することの効果を如実に物語っている。
ユーザー業界 概  要

土木・建築
土木・建築
砂漠緑化
  ○砂漠緑化のための土壌の改良

生活・文化
生活・文化
環境型紙おむつ
  ○発展途上国用安価な紙おむつ

関連特許 なし
事業実績条件 ・実施段階:実施無し
・技術導入時の技術指導の有無:無し
・ノウハウ提供:無し
・ライセンス制約条件:許諾のみ
参考情報 現在、吸水性ポリマーは紙おむつなどの分野で着実に市場を形成しており、架橋されたイオンポリマーを用いるのが普通である。しかしながら、例えば砂漠の環境改善などの目的で使用される場合は、性能もさることながら、そのコストも重要な要因となる。本発明は、こうした用件を満たすことを目的としてなされたもので、非常に安価な材料を用い、そこそこの効果を持つ吸水性材料を得るためのものである。また、環境に対する負荷もあまりないことが予想される。日本のように土地に限りがあるところでは紙おむつなどは焼却処分されるのが普通であるが、大きな国土を持つ他の国の場合、埋め立て処分される場合もあるかと思う。こうした国々では本発明のポリマーをより広範囲に応用することが可能かと思う。また、草炭・フミン酸という天然物を出発原料としていることから、環境安全性が高いであろうことも期待される。



タイトル
(ライセンス情報)
草炭から得られたフミン酸の改質による吸水性材料の製造方法

特許権者   東京都

ライセンス情報番号 L1999001661

お問い合わせ先

東京都
東京都立産業技術研究所 
産業支援部 企画調整課 
桜井 守
〒115-8586
東京都北区西が丘3−13−10
TEL:03-3909-2151 FAX:03-3909-2590
E-mail:mamoru_Sakurai@member.metro.tokyo.jp



出願番号 特願平09-131549

公開番号 特開平10-287694

特許番号 特許3612659

権 利 存 続 期 間 11年10ヶ月(平29.4.16満了)

権利化情報 
出願日/平9.4.16  公開日/平10.10.27  登録日/平16.11.5 

用語解説  
グラフト重合 ・高分子の官能基に反応させて新たな高分子を得る
草炭 ・ピート、泥炭

参考情報  
 
 

原稿作成  
須賀 雅信  日本アイアール株式会社 PDF