充分な強度を保持し、均質且つ速乾性で安全、安価な光触媒機能を有する紙用塗料


紙表面に光触媒機能を付与した紙用塗料には、これまで光の照射により物質を分解、酸化する酸化チタンがよく用いられてきた。しかし、これらの塗料では、硬化時間を短縮するために有機溶媒を使用する場合、製造現場での溶媒の安全性に問題があった。また、結合剤としてケイ素化合物の加水分解物を使用する場合、酸化ケイ素のコロイドのゲル化の問題があった。本発明による塗料は、粒子状の酸化チタン、コロイド状の酸化ケイ素、有機シラン化合物の加水分解物およびアルミニウム系キレート剤を含有させたものである。塗料の製造は、調整手順、分散手順および添加手順によって行われる。まず、調整手順は、有機シラン化合物(結合機能)の加水分解物の水分散液に、アルミニウムキレート剤(反応抑制機能)を添加して加水分解物水溶液を調整する。分散手順は、この水溶液に酸化ケイ素と酸化チタン(光触媒機能)を分散させる。添加手順は、グリコール系構造の界面活性剤を添加し、疎水性の紙表面への濡れ性を向上させる。ここでは、粒子径の大きい酸化ケイ素のコロイドを使用することにより、酸化チタンの使用量を低減しても、十分な塗膜が形成され、塗膜の強度を安全、安価に達成できる。また、結合剤により酸化チタンの光触媒作用の耐久性を向上させ、塗布後の硬化時間も短縮できる。更に、反応抑制剤により酸化ケイ素のゲル化、沈殿が抑制され、塗膜の均質化が可能となる。

ユーザー業界 活 用 ア イ デ ア
繊維・紙
繊維・紙
生活・文化
生活・文化
印刷用紙
  ○グラビア等の一般の印刷用紙に適用し、空間に存在する微量有害成分や汚れの除去、長期保存性と低価格を実現
室内用壁紙等
  ○室内用壁紙やふすま用紙に適用し、室内空間に存在する微量有害成分や汚れを除去
抗菌製品
  ○食品包装用紙、収納用品、医療用衛生用品に使用し、無毒性で抗菌性の製品を実現
土木・建築
土木・建築
壁塗装材
  ○建物の外壁・内壁の塗装剤に適用し、壁に付着した汚れや微生物を除去

関連特許 なし
特許情報 ・実施段階:試作段階
・技術導入時の技術指導:応相談
・ノウハウ提供:応相談
・供与条件:譲渡または許諾
market potential 本発明は、光触媒機能を有する紙用塗料として、充分な強度と均質性を有し、安全で安価な塗料を提供するものである。このため、その適用分野として、光触媒機能を利用した様々な形態が想定される。例えば、一般の印刷用紙以外にも、室内用壁紙やふすま用紙に適用し、室内空間に存在する微量有害成分や付着した汚れを除去することができる。また、建物の外壁・内壁の塗装剤に適用し、壁に付着した汚れや微生物を除去することができる。更に、酸化チタンが無毒性且つ抗菌性を有していることから、食器包装用紙、衣類等の収納用品、医療用衛生用品等にも使用できる。この様に、様々な紙製品を始めとして、建築分野等の多様な利用形態が期待でき、その市場も広範囲で大きい。


タイトル
(ライセンス情報)
光触媒機能を有する紙

特許権者 香川県、株式会社丸善

ライセンス情報番号 L2010003873

お問い合わせ先

株式会社丸善
企画部
部長
市村 光利
   

〒 767-0031
香川県三豊市三野町大見甲3308
TEL:0875-72-5135  FAX:0875-73-5587
E-mailAddress:
   ichimura@p-maruzen.com




出願番号 特願2007-007290

公開番号 特開2008-174852

特許番号 特許4349496

権 利 存 続 期 間 16年(平39.1.16)

権利化情報  出願日/平19.1.16 公開日/平20.7.31 登録日/平21.7.31

用語解説 
光触媒機能 光を吸収することにより、他の物質に化学反応を引き起こすことをいい、ここでは酸化チタンを使用
有機溶媒 固体、液体あるいは気体を溶かす有機物の液体のことで、人体に有害なものが多い
結合剤 粒子同士を結合させるもので、ここでは有機シラン化合物の誘導体を使用
コロイド 物質の微細な粒子が、気体中や液体中に分散している状態のこと
ゲル コロイド溶液の蒸発、冷却または化学変化によって生じる半固体物質のこと
キレート剤 金属イオン封鎖剤とも呼び、化合物の反応を抑制するもので、ここではアルミニウム系を用いて水溶液を調整
界面活性剤 2つの物質の界面(表面)に作用し、境界面の性質を変えるもので、ここでは塗装剤の紙表面への濡れ性を向上

参考情報 
・特許流通アドバイザーによる推薦
 :香川県 黒田 茂
・IPC:D21H 19/40
参照可能な特許流通支援チャート
    :16年度 化学25 光触媒(材料技術及び担持技術)

原稿作成 
原稿作成:安田 圭一  NTT-AT アイピーエス株式会社 PDF