インぺラーとケーシングが接触しないコンタミフリーポンプ


遠心ポンプ(渦巻ポンプ)の中で極く僅かの液体の漏れも生じない比較的小型の機種がある。ここで対象とするのは、この種のクローズド型の横置型ポンプである。ローターや軸受が移送液の中に浸っているので軸受のシール性能の良否は問題とならない。従来製品でキャンドモーターとかマグネットポンプと呼ばれる特殊型のポンプに代表される。更に近年マグフラポンプという、ハイテク産業向けに内部での部品の摺動を防ぎ、金属イオンの溶け込みやパーティクルの発生がない一段進んだタイプが出現した。その原理は回転軸を取り去り、インぺラーを移送液の中に浮かせた状態とし、磁束の歪を利用して回転させるものである。しかし、実際に使用してみるとインぺラーの角度に偏りが生じ、擦れが起きることが確かめられた。本発明者らはポンプ内の液体の流れ方で部分的に圧力差が発生しているとの流体力学的な考察に基づき図1に示すような仕切り(隔壁)をケーシング内に設け、圧力をバランスさせた。第2の改良ポイントはインぺラーが軸方向に偏って寄り、ケーシングと接触しないように両側面に渦が発生するような溝を設けたことである(楔効果と呼ぶ)。第3にはケーシング内の液体の有無を検出するセンサーを設け、空運転を未然に防止するシステムとしたことである。これらの対策によりインぺラーとケーシングの擦れが起きないことが実験的に確認された。
ユーザー業界 活 用 ア イ デ ア
機械・加工
機械・加工
その他
その他
人工透析用ポンプ
  ○金属イオンの溶け込みやコンタミの発生がなく、音が静かで摺動発熱がない。即ち、人体に安全
  
電気・電子
電気・電子
電子部品清浄用ポンプ、電子部品研磨用スラリーポンプ
  ○金属イオンの溶け込みやコンタミの発生がない
化学・薬品
化学・薬品
化学分析の超純水用ポンプ
  ○特に微量金属の分析時のサンプル調製、洗浄用超純水の移送に好適。分析誤差が低減できる
食品・バイオ
食品・バイオ
高級酒、ワイン移送ポンプ
  ○微妙な味に影響を与える金気(かなっけ)が混じらない

関連特許 あり
特許情報 ・実施段階:実施有り
・技術導入時の技術指導:応相談
・ノウハウ提供:応相談
・供与条件:許諾のみ
market potential ハイグレードのポンプに対するユーザ側の要求は無漏洩、安全、長寿命、低コスト等から更に進み、コンタミフリー(金属イオンやパーティクル等の汚染を生じない)にまで及んできた。これに応えるために、インぺラーをマグネットで回転させるノンシール型ポンプが製造されているが、前述の通り完全ではない。本発明は、その厚い壁を打破する画期的な高機能型ポンプである。即ち、接液部分に金属材料を使う必要がないので金属イオンの溶け込みがない、摺動が起きないのでコンタミ(微粒子等)の発生がない、寿命が長い、メンテナンスフリー等の優れた特長をもつ。経済産業省の統計(H19年)によれば単段渦巻ポンプ、耐食性ポンプ等の市場はおよそ1,000億円規模であるが、化学工場での腐食性液体、電子産業での超純水、製薬産業での薬液、食品では高級飲料、更に原子力産業にまで幅広い需要が見込まれる。


タイトル
(ライセンス情報)
ポンプ装置

特許権者 矢野 亨、青谷 勇、西村 正志

ライセンス情報番号 L2009005708

お問い合わせ先

株式会社MEポンプ製作所
代表取締役
西村 正志  

〒 753-0831
山口県山口市平井1575−5
TEL:083-920-4450  FAX:083-920-4450
E-mailAddress:
     mepomp@c-able.ne.jp




出願番号 特願2003-379004

公開番号 特開2005-090478

特許番号 特許3942579

権 利 存 続 期 間 13年10ヶ月(平35.11.7)

権利化情報  出願日/平15.11.7 公開日/平17.4.7 登録日/平19.4.13

用語解説 
ノンシール型ポンプ 通常、インぺラーの軸受をパッキン等でシールして液漏れを防いでいるが、構造的にこの必要がないタイプ
インぺラー ケーシングの中で回転する羽根車のこと。回転により液体に遠心力を与え、この速度エネルギーを圧力に換える
ローター インぺラーと機械的に直結しており、外部から伝達される回転力をインぺラーに伝える。アルミ等を使用

参考情報 
・特許流通アドバイザーによる推薦
・アドバイザー名:山口県 尾山 昇
・IPC:F04D 13/02

原稿作成 
青山 進  有限会社青山技術士事務所 PDF