広い温度範囲で、温度が上ると縮む材料


温度が上ると縮む、つまり負の熱膨張係数をもつ材料は少ないながらもこれまでにいくつも発表され実用化されている。本発明の材料はこれまでに発表されているものよりもずっと広い温度範囲で、しかも大きな負の熱膨張係数をもち、しかも使い易いものである点が特徴である。現在実用化されているものの多くはタングステン酸ジルコニウムのような複合酸化物であるが、本発明の材料は逆ペロフスカイト型マンガン窒化物の磁気相転移を利用したものである。一般に金属磁性体はある温度以上では磁性をもたず、低い温度では磁性をもつが材料によっては磁性をもたない常磁性体のときのほうが体積が小さくなる、つまり温度が上ると体積が減り負の熱膨張係数を示すものがある。この場合は逆ペロフスカイト構造をもつマンガン窒化物にゲルマニウムを加えることで磁気相転移の起きる温度をある範囲にわたって連続的にすることに成功したものであり、しかもゲルマニウムと共に加える他の材料亜鉛、ガリウム、銅、ニッケルなどの組成を変えることで、さまざまな特性が得られる点が大きな特徴である。この材料は粉末の状態で使えるので他の材料との混合が容易であり、また金属的性質をもつので電気伝導・熱伝導が高く、窒化物であるため強度も大きいということも特徴としてあげられる。
ユーザー業界 活 用 ア イ デ ア
電気・電子
電気・電子
情報・通信
情報・通信
機械・加工
機械・加工
金属の熱膨張係数を逆方向に補正した膨張率ゼロの部品
  ○通常の金属材料の正の熱膨張係数を打ち消して見かけ上ゼロにし、計測器などの部品に応用する
  
  
電気・電子
電気・電子
機械・加工
機械・加工
高感度バイメタル
  ○わずかな温度変化で大きく変形するバイメタルが作れる
  
情報・通信
情報・通信
機械・加工
機械・加工
精密光フィルタの温度補正部品
  ○広い温度範囲で任意の負の熱膨張係数が得られるので光フィルタの温度補正が可能になる
  
化学・薬品
化学・薬品
金属材料
金属材料
無機材料
無機材料
負の熱膨張係数をもつ材料の供給
  ○従来のセラミックなどに変わる金属的性質をもつ負の熱膨張係数をもつ材料を製造し供給する
  
  
電気・電子
電気・電子
機械・加工
機械・加工
膨張率ゼロの樹脂基板
  ○情報端末(携帯電話、ノートパソコン、ゲーム機等)のプリント基板
  

関連特許 国外あり
特許情報 ・実施段階:実施無し
・技術導入時の技術指導の有無:応相談
・ノウハウ提供:応相談
・ライセンス制約条件について:許諾のみ
market potential 精密な機械加工や光学機器、測定器などでは温度変化による寸法変化が問題となるため、これまでもシリコン酸化物の様な負の熱膨張係数をもつ材料を組み合わせて見かけ上熱膨張係数をゼロにするということは行なわれてきた。しかし、これらの材料は全て絶縁体であり、またその作り方もあまり容易であったとはいえない。更に、例えば粉末冶金によりセラミックの様に自在な形にでき、原材料の配合と組成を変えることで様々な特性、使用温度範囲と熱膨張係数を色々にコントロールできるので、従来の様に他の材料との組み合わせで見かけ上熱膨張係数をゼロにするのではなく、通常の金属材料並みの硬さと強さをもった材料単体として熱膨張係数をゼロにもできるのである。この様な特長から、従来ではコストや性能の点で不可能であった分野への利用が考えられ、金属材料やセラミック以外でも、フェノール、エポキシ等プリント基板用樹脂の熱膨張制御にも展開できる。


タイトル
(ライセンス情報)
:熱膨張抑制剤、ゼロ熱膨張材料、負の熱膨張材料、熱膨張抑制方法および熱膨張抑…

出 願 人 独立行政法人理化学研究所

ライセンス情報番号 L2008004827

お問い合わせ先

独立行政法人理化学研究所
知的財産戦略センター 知財創出・活用チーム 
鈴木 久美子

〒 351-0198
埼玉県和光市広沢2−1
TEL:048-467-9762  FAX:048-467-9962
E-mailAddress:
jitsuyou@riken.jp





出願番号 特願2006-527870

公開番号 WO2006/011590

特許番号 出願中

権 利 存 続 期 間 出願中

権利化情報  出願日/平17.7.29 公開日/平18.2.2 登録日/出願中

用語解説 
ペロフスカイト構造 元来ペロフスカイトは灰チタン石のことで、これと同じ結晶構造をペロフスカイト構造という
ファイバーグレーティング 光ファイバーのコアの中に回折格子を形成して、特定の波長の光を反射させ、他の光は通過させる光フィルタ
熱膨張係数 温度を上げたときに体積の変化する割合。ほとんどの材料は温度が上がると体積が増えるので正の値となる

参考情報 
・IPC:C01B  21/06

原稿作成 
吉田 邦雄  システム・インテグレーション株式会社 PDF