太陽電池に代えて、安定で安価な電気エネルギーを生成


新しい電気エネルギーの生成手段として期待されてきた太陽電池は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する素子として半導体材料を用いるため、材料純度や製造行程により電池性能の制御が難しく、その高コスト構造が普及の大きな課題であった。本発明による電池は、まず原子番号が5以上異なる1組の板状金属部材(ステンレス、アルミニューム等)について、板状の絶縁部材(上質紙等)を介して交互に積層して積層体を形成する。次にこの積層体に放射線等のエネルギー線を照射し、これと各金属部材との相互作用(コンプトン散乱等)により、各金属部材から2次電子を放出させ、各金属部材に異なる起電力を生じさせ、この起電力の差から電気エネルギーを生成するものである。また、各金属部材の厚さ、積層数、照射面積および材料種類を変えることにより、エネルギーの生成効率を容易に制御でき、所望の電気エネルギ−を簡単に得ることができる。電池の製造コストも極めて安価である。エネルギー線として、特に放射性廃棄物からの放射線を用いることにより、半永久的に使用することができ、また放射線以外にも電子線、電磁波、レーザ光等も用いることも可能である。
ユーザー業界 活 用 ア イ デ ア
電気・電子
電気・電子
金属材料
金属材料
その他
その他
発電システム
  ○放射性廃棄物処理施設内の大型発電方式に適用し、廃棄物から出される強い放射線から、大出力の電力を無保守で半永久的に得ることができ、また建設コストも極めて安価となり、経済的な発電システムを提供できる
宇宙探査機用電池
  ○宇宙探査機等の人工衛星用電池に適用し、放射線線源としてラジオアイソトープを搭載し、宇宙空間での過酷な環境下においても堅牢で、安定な電力を長期にわたり供給できる
  
電気・電子
電気・電子
輸送
輸送
金属材料
金属材料
位置標識用電池
  ○海上位置標識(ラジオブイ)や山岳位置標識用の無人施設用電池に適用し、人体等に影響のない微弱放射線の線源としてラジオアイソトープを使用し、堅牢、無保守で安価な小電力を半永久的に得ることができる
  
  

関連特許 なし
特許情報 ・実施段階:実施無し
・技術導入時の技術指導の有無:応相談
・ノウハウ提供:応相談
・ライセンス制約条件について:譲渡または許諾
market potential 将来のエネルギー問題や環境問題を解決するものとして、CO2等の有害物質を生成しないクリーンで安価な電気エネルギーの生成手段について、その開発と普及が緊急な課題として要請されている。本発明の電池は、安価な金属部材と絶縁部材によって構成され、構造的に極めて簡易、堅牢であり、メンテナンスフリーで半永久的に利用できるため、極めて安価な電力を安定に供給することが可能である。このため、その市場は広範囲な分野にあり、核燃料廃棄物処理施設での発電システム、ラジオアイソトープを使った宇宙探査機用電池および海上位置標識や山岳位置標識等の無人施設用電池として利用できる可能性があり、産業用のみならず公共用、民生用としても膨大な市場創出が期待される。


タイトル
(ライセンス情報)
発電方法及び電池

特許権者 国立大学法人名古屋大学

ライセンス情報番号 L2007002017

お問い合わせ先

財団法人名古屋産業科学研究所 中部TLO
技術移転部
  部長 大森 茂嘉

〒 460-0008
愛知県名古屋市中区栄2−10−19
TEL:052-223-5694  FAX:052-211-6224
E-mailAddress:
oomori@nisri.jp




出願番号 特願2003-312863

公開番号 特開2005-083756

特許番号 特許3861154

権 利 存 続 期 間 15年8ヶ月(平35.9.4満了)

権利化情報  出願日/平15.9.4 公開日/平17.3.31 登録日/平18.10.6

用語解説 
原子番号 元素の原子核に含まれている陽子の数をいう。金属部材例のステンレスは26、アルミニュームは13である
コンプトン散乱 X線、γ線等の電磁波が物質の電子に衝突すると、もとの波長より長い波長の散乱放射が起こることをいう
2次電子 固体に電磁波や粒子(電子等)を照射したとき、光電効果等により固体表面から飛び出してきた電子をいう
ラジオアイソトープ 放射性同位元素のことで、同位元素(同一元素の間で原子量が異なるもの)の中で、放射能を持つものをいう

参考情報 
・IPC:G21H   1/04
参照可能な特許流通支援チャート
    :14年度 電気16 高効率太陽電池
    :16年度 電気28 携帯機器用電源
    :15年度 機械10 コージェネレーションシステム

原稿作成 
原稿作成:山本 良一  NTT-AT IPシェアリング株式会社 PDF