珪素化合物を主体とした混合難燃処理液に、ポリフェノール系植物抽出液を添加して効果を向上させた


従来から、特に木材、紙、及び天然繊維などの自然有機素材の難燃化に、燐化合物、窒素化合物、硼素化合物、ハロゲン化合物等様々な処理液が開発されてきた。しかしながら、燐化合物、窒素化合物、ハロゲン化合物は、燃焼時の有害ガスを含む発煙量が多く、また燐酸にいたっては強酸であり、素材の傷み、変色が発生する問題点があり、一方、硼素化合物を使うと、溶解度が低く、低濃度では燃焼抑制効果が低下し、また水溶性のため溶脱が発生したり、十分に満足いくレベルのものは出来ていない。こうした状況に鑑み、筆者らは、特に珪素化合物系の難燃処理剤をベースに1)溶解度が低く、低濃度では燃焼抑制効果が低下する、2)水溶性のため溶脱が発生する、といった2つの弱点を克服するために試行錯誤を行った結果、弱アルカリの金属塩水溶液に燐酸及びシランカップリング剤を加えて混合水溶液とし、該混合水溶液にポリフェノール系化合物を主成分とする植物抽出物を加えることによって、薬剤の定着性が向上して燃焼抑制効果が高くなり且つ溶脱の発生を極力抑えることができることを見出した。また、この不燃処理液は、木材、紙及び天然繊維等のセルロースを主成分とする部材に広く適用することができることを確認した。
ユーザー業界 活 用 ア イ デ ア
生活・文化
生活・文化
燭台
  ○難燃化した木材で燭台を作ることにより、強いインパクトを与える
使い捨て鍋
  ○難燃化処理した和紙で、使い捨ての鍋を作る。居酒屋などで、衆目を引く効果が期待できる

関連特許 あり
特許情報 ・実施段階:実施無し
・技術導入時の技術指導の有無:有り
・ノウハウ提供:有り
・ライセンス制約条件について:許諾のみ
market potential 本発明により難燃化処理可能な商品は数多くあるが、特に難燃化によるメリットが大きい分野としては、寝たばこなど、生活空間における火事の発生リスクを低減できる効果を生かして、まず障子、壁紙、スタンドカバーなどの紙製の生活雑貨の分野が挙げられる。次に、難燃化処理した木材を用いれば、箪笥、棚、椅子、机、柱、など広くに用いることができ、且つ、難燃化のメリットが十分に生かされる。さらには、新たな市場という面においては、従来プラスチックや陶器が使用されていた用途において、少し違った素材感を生かして、デザイン重視の用途に用いることもできる。使い捨ての耐火皿、コンロ、燭台など、常識的には用いられなかった分野に応用することで、衆目を集める効果が期待できる。


タイトル
(ライセンス情報)
不燃処理液、並びにこれを用いた防火材

特許権者 浅野木材工業株式会社

ライセンス情報番号 L2006006833

お問い合わせ先

浅野木材工業株式会社
  法務担当 宮地 めぐみ

〒 910-0303
福井県坂井市丸岡町猪爪5-14
TEL:0776-67-1135  FAX:0766-67-1134
E-mailAddress: 




出願番号 特願2003-155774

公開番号 特開2004-050828

特許番号 特許3485914

権 利 存 続 期 間 16年4ヶ月(平35.5.30満了)

権利化情報  出願日/平15.5.30 公開日/平16.2.19 登録日/平15.10.24

用語解説 
シランカップリング剤 Siを含む化合物で、2つ以上の異なる基でカップリングする
セルロース 繊維質
ポリフェノール フェノール性OHを複数持つ化合物

参考情報 
・特許流通アドバイザーによる推薦

原稿作成 
須賀 雅信  日本アイアール株式会社 PDF