非晶質のキチン・キトサンを130〜220℃の水熱条件下で分解する簡便迅速安価安全な低分子化法


キチンは、カニ、エビなどの甲殻類やイカの器官など、多くの生物に含まれる天然多糖類で、地球上ではセルロースに次いで多く生産され、年間生産量は10億トンとも1兆トンとも言われる貴重な生物資源である。セルロースほど大量に使用されない理由は、セルロースほど収集が容易でないためと考えられる。また、セルロースほど化学的改質が容易でないことも一因であろう。天然のキチン・キトサンは分子量が高く、100万以上あり、強固な結晶性のために化学的改質が困難である。そのため、キチン・キトサンの低分子化は工業分野、食品分野において重要な課題であり、分子量を下げれば誘導体の調製が容易になること、分子量をオリゴ糖の範囲にまで下げれば生理活性が生じること等、分子量を下げることは用途拡大上も重要である。本発明技術は、キチン・キトサンを煩雑な後処理を要することなく短時間で低分子化でき、大量生産可能でコストダウン可能と同時に、分解産物を食品用としても利用できるなど、キチン・キトサンの有利な低分子化法を提供するものである。すなわち、非晶質のキチン・キトサンを130〜220℃の水熱条件下で分解することにより低分子化する。キチン・キトサンの水分散液を密封容器に入れたまま高圧水蒸気釜に入れて加熱分解を行うこともできる。少量の酸触媒を加えると分解速度が促進される。反応時間と反応温度により分解の程度を制御することができる。
ユーザー業界 概  要

繊維・紙
繊維・紙
化学・薬品
化学・薬品
その他
その他
高機能性フィルター
  ○カチオン基を有する静電紡糸不織布

化学・薬品
化学・薬品
生活・文化
生活・文化
その他
その他
人工臓器材料
  ○人工皮膚
  ○人工網膜
  ○人工神経
  ○人工軟骨

アセタール化キチン
  ○抗菌性化粧用パフ
  ○柔軟化キチン
  ○生分解性抗菌樹脂

食品添加物
  ○食品用バインダー
  ○食品用コーティング剤

化学・薬品
化学・薬品
その他
その他
骨誘導材料
  ○カチオン性を利用した骨誘導材 料/歯科材料

関連特許 なし
事業実績条件 ・実施段階:試作段階
・技術導入時の技術指導の有無:有り
・ノウハウ提供:応相談
・ライセンス制約条件:許諾のみ
参考情報 キチンとキトサンは、化学構造的には明確に区別されるが、現実の製品は両者の混合物であることが多く、酸性水溶液に溶けるものをキトサン、溶けないものをキチンと呼ぶ場合が多い。分子量的には単量体からオリゴマー、高分子量まで切れ目なく利用されている。その特性は、優れた抗菌性、消臭性、保湿性、増粘性、生体適合性、安全性およびキレート性であり、それらを利用して応用製品が開発されている。利用分野は、医用材料、医薬、化粧品、食品、繊維、農業、水処理などがあり、多くの研究と特許出願がなされている。最近は、キトサンの単量体とも言うべきグルコサミンが健康食品、医療関連用途で市場を拡大し、キトサンに並ぶ水準にまで拡大してきた。食品用途では、エグ味の低減が課題である。水溶性用途では低分子量化や脱アセチル化の工夫が重要である。地球上でセルロースに次ぐ貴重なバイオマス資源キチンをセルロースなみに役立てるためのキイテクノロジーとして利用できる。



タイトル
(ライセンス情報)
キチン・キトサンの低分子化法

出願人    鳥取県

ライセンス情報番号 L2005002405

お問い合わせ先

鳥取県産業技術センター
研究企画部 企画担当 
副主幹 衣川 貴志
〒689-1112
鳥取県鳥取市若葉台南7−1−1
TEL:0857-38-6205 FAX:0857-38-6210
E-mail:kinugawat@pref.tottori.jp



出願番号 特願2002-016495

公開番号 特開2003-212902

特許番号 出願中

権 利 存 続 期 間 出願中

権利化情報 
出願日/平14.1.25  公開日/平15.7.30  登録日/出願中 

用語解説  
キチン ・カニやエビの甲殻、昆虫外皮等に含まれる生体高分子で、N-アセチル-D-グルコサミンが結合した多糖類
キトサン ・キチンからアセチル基を外して精製したもの、通常はキチンが一部残っているので、キチン・キトサンと呼ぶ

参考情報  
 
参照可能な特許流通支援チャート
  :15年度 化学19 キチン・キトサン利用技術

原稿作成  
梶谷 浩一  株式会社テクノソフト PDF