熱処理不要な高効率色素増感太陽電池


最近、シリコン太陽電池に比べ低コストである色素増感太陽電池が注目されている。従来の色素増感太陽電池のほとんどは、焼成した半導体(TiO2)を用いているが、これには透明基板の耐熱性が必要となり、安価なプラスチックなどを透明基板として用いることは困難である。また、光電変換率を高めるためには基板表面に、如何に均一な色素複合薄膜を形成できるかが最大の課題であった。本発明によれば光電変換に必要な酸化亜鉛/色素複合薄膜をカソード電析によって形成させるので、熱処理を行う必要はない。また、本発明では、亜鉛塩を含む電解液に予めテンプレート化合物を混合してカソード電析を行い、このテンプレート化合物を内部表面に吸着した酸化亜鉛薄膜を形成させる。次にテンプレート化合物をアルカリ洗浄によってすべて取外し、その後に残る空隙に富む多孔質酸化亜鉛薄膜に、テンプレート化合物と同じ色素を再度、均一かつ強制的な物質輸送手段を講じて吸着させるので、光電変換効率は大幅に向上する。これは通常のカソード電析後の膜には酸化亜鉛表面をモノレイヤ−状に完全に覆う以上の過剰な色素が導入されてマルチレイヤが形成され、増感剤として機能しないからである。上記の光電極材料用の酸化亜鉛/色素複合薄膜を光電極材料として用いた高効率色素増感太陽電池を提供する。
ユーザー業界 概  要

土木・建築
土木・建築
一般家屋・建屋屋上太陽電池
  ○安価で軽いプラスチック基板の太 陽電池の提供

輸 送
輸 送
電気自動車用電源
  ○軽くて曲面形状の太陽電池の提供

電気・電子
電気・電子
輸 送
輸 送
生活・文化
生活・文化
光触媒素子膜の生成
  ○本発明の均一膜生成法を光触媒素 子膜生成に活用

関連特許 なし
事業実績条件 ・実施段階:実施有り
・技術導入時の技術指導の有無:応相談
・ノウハウ提供:応相談
・ライセンス制約条件:許諾のみ
参考情報 本発明によればプラスチックを透明基板に用いることによりカラフルな太陽電池が製造できる。また予め透明基板を様様な形に加工し、そこに酸化亜鉛/色素複合膜を形成することもできるので、たとえば曲面形状の太陽電池を製造できる。さらに、プラスチックをコイル状に巻き,これに酸化亜鉛/色素複合膜を形成させることにより、大量生産可能な色素増感太陽電池を製造できる。また透明基板上に均一な酸化亜鉛/色素複合膜を形成する方法を活用すれば、透明基板上に光触媒粒子を取り込んだ薄膜を安価に生成させることも可能になる。例えば家屋の窓,壁材として適用すれば光触媒作用により、ハウスシックス等の問題が解消できる。また、光触媒基板としてプラスチックを採用する場合には、無機プライマ膜(プラスチック表面を光分解分子から保護する目的で光触媒粒子の内側に配置する膜)が必要になるが、この膜生成にも活用できる。



タイトル
(ライセンス情報)
色素増感太陽電池基体用の多孔質酸化亜鉛薄膜及び色素増感太陽電池の光電極材料用の…

出願人    財団法人名古屋産業科学研究所

ライセンス情報番号 L2005002398

お問い合わせ先

財団法人名古屋産業科学研究所 中部TLO
技術移転部 
部長 大森 茂嘉
〒460-0008
愛知県名古屋市中区栄2−10−19
TEL:052-223-5694 FAX:052-211-6224
E-mail:oomori@nisri.jp



出願番号 特願2003-001483

公開番号 特開2004-006235

特許番号 出願中

権 利 存 続 期 間 出願中

権利化情報 
出願日/平15.1.7  公開日/平16.1.8  登録日/出願中 

用語解説  
透明基板 ・電池の電極となる。光電変換反応に必要な波長の光を透過させるものであれば良い
テンプレート化合物 ・カソード電析により形成される酸化亜鉛の内部表面に吸着される化合物
色素 ・光エネルギーを吸収して電子を放出するもの。通常、テンプレート化合物と同じものを用いる
モノレイヤ ・吸着分子(本発明では色素分子)の層の厚みがが1分子の厚みに相当する層
マルチレイヤ ・吸着分子(本発明では色素分子)の層の厚みがが2分子以上の厚みを持った層
光子 ・光を粒子とみなした場合の一粒子をいう
ZnO ・酸化亜鉛(酸化亜鉛薄膜)
・電子

参考情報  
 
参照可能な特許流通支援チャート
  :14年度 電気16 高効率太陽電池
  :16年度 化学25 光触媒(材料技術及び担持技術)

原稿作成  
山本 元  株式会社ベンチャ−ラボ PDF