魚臭改善にお茶のパワーを活用、栄養成分を極力残したまま、長期保存も可能に


イワシを始めとする赤身魚類は、循環器系疾患の予防や学習機能向上等が期待されるEPAやDHAなどの栄養機能成分を豊富に含んでいる。しかし、加工、加熱、保存中に発生する特有の臭気が嫌われることが多い。本発明は、魚臭発生原因の中心となっている脂肪酸化を、お茶抽出液を使って抑制した。具体的には、お茶抽出液に、茶の蛋白質凝集作用を抑制する目的で重炭酸ナトリウムを溶かし、赤身魚落し身を加えて低温で放置(晒し)後、脱水して魚肉を回収する。この処理により、魚臭の強さを示す魚臭強度判定指標が大幅に減少する。赤身魚落し身の粒径は、小さ過ぎると、栄養成分や味の低下が見られるため、粗挽きの状態(5mm程度)が良く、使用水量は等量以下を目処に晒しを行う。この製造方法による赤身魚晒し肉は、脂肪酸化が抑えられることから冷凍長期保存が可能である。なお、この赤身魚晒し肉は、つみれや魚肉ハンバーグ等の加工食品に利用できるほか、畜肉を3割程度混合すると、畜肉様の風味、食感となることから、魚肉の栄養分を豊富に含んだ多様な加工食品に利用することが可能である。
ユーザー業界 概  要
食品・バイオ
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生活・文化
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●赤身魚肉加工食品
  従来からある魚肉ソーセージ等の加工食品に用い、より魚臭の少ない食品を実現する。

食品・バイオ
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生活・文化
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●健康志向の畜肉混合赤身魚肉加工食品
  魚肉畜肉の混合加工食品に用い、魚臭がなく畜肉風味で、かつ魚の栄養素をふんだんに含む食品を実現する。

食品・バイオ
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生活・文化
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●魚肉の長期冷凍保存方法
  本発明の油脂酸化防止機能を利用して、魚肉を長期冷凍保存できるように加工する方法として用いる。


関連特許 なし
事業実績条件 ・実施段階:試作
・技術導入時の技術指導の有無:あり
・ノウハウ提供:あり
・ライセンス制約条件について:許諾
参考情報 魚の消費は若者層に嫌われる傾向があるが、健康面を考慮すれば畜肉に対する魚の優位性はしばしば言われるところであり、味・栄養を落さずに、嫌われる原因である臭いの発生を抑制する本技術の実用化の可能性は高いと考えられる。本発明により製造した赤身魚晒し肉に、畜肉を少し(3割程度)加えると、畜肉風でありながら、赤身魚の栄養成分を十分に摂取することができる料理素材となることから、畜肉ミンチの代替として家庭に普及させることにより、広く国民の健康に役立つと考えられる。また、使用するお茶は、比較的安価な番茶で、濃度も0.5g〜5g/Lと低濃度であり、製造工程も簡単なため、コストへの負担が少ないことも当技術の優位な点である。本発明は、臭気改善だけではなく、脂肪の酸化防止にも効果があることから、加工残滓を含む他の動物性食品の保存性向上にも応用が期待できる。



タイトル
(ライセンス情報)
赤身魚晒し肉とその製造方法、赤身魚肉加工食品とその製造方法及び畜肉混合赤身魚肉加工食品とその製造方法

特許権者   鳥取県

ライセンス情報番号 L2004000687

お問い合わせ先
〒 689-1112
   鳥取県鳥取市若葉台南7-1-1
   鳥取県産業技術センター
   研究企画部 企画室
     研究員
      小谷 幸敏
      TEL:0857-38-6205
      FAX:0857-38-6210

出願番号 特願平10-236220

公開番号 特開2000-032958

特許番号 特許2939883

権 利 存 続 期 間 14年3ヶ月
(平30.7.18満了)

権利化情報 
出願日/平10.7.18  公開日/平12.2.2  登録日/平11.6.18 

用語解説  
テクスチャー ・食べ物を手で触れたり、口に入れた時の感覚、咀嚼あるいは嚥下の際の感覚などのことをいう
EPA ・エイコサペンタエン酸という魚油に豊富に含まれる成分。循環器系疾患の予防効果があることが知られている。
DHA ・ドコサヘキサエン酸という魚油に豊富に含まれる成分。学習機能向上などに効果があるとされている。
晒し ・魚肉すり身等を製造する際に、血液などの水溶性成分を除くために行う、魚肉の水への浸漬、洗浄。
魚臭強度判定指標 ・赤身魚のにおいの強さを判定するために開発した独自な指標。機器と人間の両方の感覚を判断基準としている。

参考情報  
特許流通アドバイザーによる推薦

原稿作成  
小林 巡  日本アイアール株式会社 PDF