従来の既知酵素とは異なる分解様式をもつ新しいキシログルカンオリゴ糖分解酵素を提供する


キシログルカンは、グルコース、キシロース、ガラクトース、フコース、アラビノースなどを構成単糖とするヘテロ多糖で、キシロースがα-1,6キシロシド結合でつながり、分岐構造が多いことから、「キシログルカン」と呼ばる。キシログルカンは、植物の細胞壁中におけるセルロースとの相対的存在形態が、植物細胞の伸長や形態分化に重要な役割を担うものと考えられている。この役割を解明するためにキシログルカン分解酵素は、重要で強力な分析手段を提供した。主鎖構造がセルロース類似であることから、分解能を有するグリコシダーゼが数多く知られており、構造解明に用いられた。しかし、既知のグリコシダーゼでは切断できない結合が数多く残っており、異なる分解様式をもつ新しいグリコシダーゼの開発が嘱望されていた。本発明者らは、自然界より微生物スクリーニングを行い、分離微生物の生産するキシログルカン分解酵素系を精査し、従来未知の分解様式でキシログルカンを分解する酵素に注目して検討し、酵母菌の一種、ゲオトリカム属の一菌株が新規なキシログルカンオリゴ糖分解酵素を生産することを見出すとともに、アミノ酸配列及びその遺伝子の塩基配列を解明し、本発明を完成した。特徴は、還元末端側から2番目の特定の結合を分解することである。
ユーザー業界 概  要

化学・薬品
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食品・バイオ
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研究用試薬
  ○世界的に注目度の高いキシログル カンの構造・機能を解明する上で 技術戦略物質になる可能性がある

化学・薬品
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食品・バイオ
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新規機能性糖の開発
  ○本酵素の分解活性はキシログルカ ンオリゴ糖の構造依存性が高く、 新規機能性糖類の生産触媒として 有望

化学・薬品
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食品・バイオ
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植物の画期的な品種改良
  ○キシログルカンは、細胞の伸長や 形態分化に関与する。機序解明に より、画期的な品種改良も期待さ れる

関連特許 なし
事業実績条件 ・実施段階:実施無し
・技術導入時の技術指導の有無:応相談
・ノウハウ提供:応相談
・ライセンス制約条件:許諾のみ
参考情報 キシログルカンオリゴ糖の主鎖を構成するβ-グルコシド結合について、還元末端側から2番目のβ-グルコシド結合を特異的に分解する酵素をゲオトリカム属の微生物から採取するとともに、そのアミノ酸配列及び該酵素遺伝子の塩基配列を明らかにし、遺伝子工学的手法を用いて上記酵素活性を有するポリペプチドを安価かつ高純度で生産することに成功した。本発明になる酵素の分解活性は、オリゴ糖の末端構造依存性が高く、世界的に注目度の高いキシログルカンの構造を分析的に解明する上で有力な武器となりうるので、当該分野における技術戦略物質になる可能性がある。また、キシログルカンオリゴ糖から新規な機能性糖類を製造する機能性触媒としても有望である。また、キシログルカンは、植物細胞の伸長や形態分化に重要な役割を担うものと考えられており、この機序を解明することにより、植物の画期的な品種改良につながることも期待される。



タイトル
(ライセンス情報)
新規なキシログルカンオリゴ糖分解酵素、それをコードする遺伝子、ならびに概酵素の製造方法

出願人    独立行政法人産業技術総合研究所

ライセンス情報番号 L2003008582

お問い合わせ先

独立行政法人産業技術総合研究所つくばセンター
産総研イノベーションズ 
業務部門 部長 山上 喜吉
〒305-8568
茨城県つくば市梅園1−1−1
TEL:029-861-5210 FAX:029-861-5087
E-mail:k.yamagami@aist.go.jp



出願番号 特願2002-083433

公開番号 特開2003-274952

特許番号 出願中

権 利 存 続 期 間 出願中

権利化情報 
出願日/平14.3.25  公開日/平15.9.30  登録日/出願中 

用語解説  
グルコース ・単糖のひとつで、ブドウ糖ともいう。澱粉を酸またはグルコアミラーゼで加水分解して調整される
オリゴ糖 ・少糖とも呼ばれる。二糖ないし十数糖の重合度の糖質の総称で、多糖との境界は必ずしも明確でない
キシロース ・アルドペントースの一種。D−キシロースは木糖と呼ばれ、木材、藁、豆殻などの植物に広く分布している

参考情報  
 

原稿作成  
梶谷 浩一  株式会社テクノソフト PDF