高出力でスペクトル純度が高いテラヘルツ光発生装置。周波数変更も可能。卓上におけるほど小型


テラヘルツ波の発生装置は、自由電子レーザー、p-Geレーザーなどがあるが、装置が非常に大型となり実験室レベルでの用途に限られる。その中で、現在主流であるフェムト秒レーザーパルス法では極めてブロードなスペクトル幅のテラヘルツ波が発生する。一方、光パラメトリック発振による方法は、励起光のみによる方法、あるいはこれに共振器を加えて発生光の強度を高める方法があった。この改良法は、励起ビームとなる単一周波数の第1レーザー光に加えて種光となる別の単一周波数の第2レーザー光を特定の条件で非線形光学結晶に注入し、さらにこの光学結晶の表面にシリコンなどのテラヘルツ波領域で屈折率変化の少ない物質で出来たプリズム結合器を配置し、さらに光学結晶の両端面の一部に反射面を設け第1レーザー光及び第2レーザー光を結晶端面内で複数回反射させた後通過させるようにしている。これらの組合せで、従来方法に比べて、強度が大幅に向上しかつスペクトル純度も高いテラヘルツ波を一定の方向に容易に発生させることが出来るようにした装置である。卓上にも置くことも出来る小型装置化も可能。フェムト秒レーザーパルス法とは違い、スペクトル純度が非常に高いテラヘルツ波を得ることで、用途に応じた波長を効率よく利用出来る。なお、第2光源に可変波長レーザー装置を使用するとテラヘルツ波の波長を変化させることが出来、応用範囲が拡大する。
ユーザー業界 概  要

電気・電子
電気・電子
食品・バイオ
食品・バイオ
生活・文化
生活・文化
癌の診断・治療装置
  ○ガン組織と正常組織で吸収に差が あると推定され、波長をスキャン し診断治療を行う。X線より人体 に安全

化学・薬品
化学・薬品
有機材料
有機材料
赤外テラヘルツ光分光分析計
  ○従来の赤外分析計にテラヘルツ光 源を追加し分子構造決定などに有 効なより多彩な情報を得ることが 出来る

電気・電子
電気・電子
化学・薬品
化学・薬品
異物検出器
  ○ゴムなどの内部異物検出に使用さ れているX線使用の異物検出器を 安全なテラヘルツ波形に変更する

関連特許 あり
事業実績条件 ・実施段階:実施無し
・技術導入時の技術指導の有無:応相談
・ノウハウ提供:応相談
・ライセンス制約条件:許諾のみ
参考情報 テラヘルツ光は良い光源がなく、また、手軽な検出器もないため、産業面への応用が進んでいない。しかし、テラヘルツ光を挟む領域である電波と光波が多方面で利用されている状況からして、テラヘルツ光も物理現象、生命現象、物質構造解明等の分野で今後利用が進むと考えられる。例えば物質を分子レベルで見るとき、テラヘルツ光領域にはX線以上に多くの分子の振動に同期する振動数が存在しており、一方ではX線より低エネルギーであるため人体に与える影響も小さく安全性が高いなどの特徴があり、新しい非破壊検査技術あるいは医学、バイオ等の面での利用も有望な分野である。この発明のような小型で効率の良いテラヘルツ光源開発は、今後の用途開発のキー技術である。



タイトル
(ライセンス情報)
テラヘルツ波発生方法及び装置

出願人    独立行政法人理化学研究所

ライセンス情報番号 L2003007391

お問い合わせ先

独立行政法人理化学研究所
研究調整部技術展開室 室長 松川 健二
〒351-0198
埼玉県和光市広沢2−1
TEL:048-467-9262 FAX:048-462-4609
E-mail:kmatsu@postman.riken.go.jp


出願番号 特願2000-261233

公開番号 特開2002-072269

特許番号 出願中

権 利 存 続 期 間 出願中

権利化情報 
出願日/平12.8.30  公開日/平14.3.12  登録日/出願中 

用語解説  
テラヘルツ波 ・周波数が10の12乗Hzであり、光と電波の中間に位置している電磁波。現在産業面への利用が開発段階
非線形光学結晶 ・レーザの波長変換に使用される光学結晶で入射光の角振動数の2倍、3倍の高調波を発生する物質
光パラメトリック発振 ・高周波数フォトンを二つの低周波数フォトンに分割。結晶を傾け波長の違う信号波とアイドラー波とする
位相整合 ・入力ビームと発生ビームの位相ベクトルを一致させること。角度チューニング、温度チューニングなどがある

参考情報  
 

原稿作成  
角南 英八郎  有限会社知財情報研究所 PDF