スパッタリング法で作製できる摩擦・摩耗特性に優れたダイヤモンドライクカーボン複合硬質皮膜


工具、金型、摺動部品等の摩耗を防ぎ摩擦抵抗を減らす目的で、PVD(物理蒸着)法やCVD(化学蒸着)法を用いて、TiNのような窒化物を成膜することや、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜を形成することが広く行われている。しかし、TiN等の窒化物は密着強度に優れるものの摩擦係数が比較的高いという欠点があり、逆にDLC膜は摩擦係数が小さいものの低密着強度であるという欠点がある。本発明の皮膜形成法はこの課題を効果的に解決するためのものであり、まずスパッタリング法を用いてAlCrN等の密着強度の高い皮膜を形成した上に、アセチレン等の炭化水素ガスを、炭化物の生成する以上に過度に供給して、アモルファスカーボンを50〜95原子%含む低摩擦係数で高硬度の皮膜を形成するというものである。この皮膜は従来のDLC皮膜と比べ、摩擦係数では遜色ない上に数百℃の高温下でも剥離が起きず、従って厳しい条件でも低摩擦係数と高密着強度を両立させることができる。また、装置も特別なものを必要とせず、これまでにあるスパッタリング装置をそのまま使うことができる上に、アセチレン等の炭化水素ガスの供給を適切にコントロールすることで様々な性質の皮膜を作ることが可能である。
ユーザー業界 活 用 ア イ デ ア
機械・加工
機械・加工
金属材料
金属材料
切削工具の表面処理
  ○切削工具の表面に本発明の低摩擦高硬度皮膜をつける
  
機械・加工
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金属材料
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機構部品の固体潤滑皮膜
  ○機構部品の表面に本発明の低摩擦皮膜を形成する
  
機械・加工
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化学・薬品
化学・薬品
金属材料
金属材料
プラズマCVD装置の供給
  ○本発明の加工を行う工具・機械部品メーカーに装置を販売する
  
  

関連特許 あり
特許情報 ・実施段階:実施有り
・技術導入時の技術指導:応相談
・ノウハウ提供:応相談
・供与条件:許諾のみ
market potential 工具、金型、摺動部品等の寿命を延ばし、省資源、省エネルギーを図るためには、その表面に摩耗と摩擦に優れた材料をコーティングすると効果的である。摩耗に優れた材料としてはTiN、TiAlN、AlCrN等が、摩擦に優れた材料としてはDLC膜が様々な分野で用いられている。従来これらの窒化物はスパッタリング法等のPVD法で、DLC膜はCVD法で作製されていた。本発明では、窒化物とDLCで構成される複合硬質皮膜を、従来のスパッタリング装置を用いて、CVD装置を必要とせず、1回の処理でコーティングすることが可能である。このことにより、窒化物とDLC膜の両者の優れた特性を有する硬質皮膜を安価に提供することが可能となった。本発明によるコーティングを施すと、製品の寿命を飛躍的に延ばせると共に低摩擦であることから、省資源、省エネルギーに寄与できる。


タイトル
(ライセンス情報)
低摩擦係数の複合硬質皮膜の形成法

特許権者 地方独立行政法人山口県産業技術センター

ライセンス情報番号 L2002008404

お問い合わせ先

地方独立行政法人山口県産業技術センター
経営企画グループ

   

〒 755-0195
山口県宇部市あすとぴあ4−1−1
TEL:0836-53-5051  FAX:0836-53-5070
E-mailAddress:
     info@iti-yamaguchi.or.jp




出願番号 特願平10-314507

公開番号 特開2000-144378

特許番号 特許3918895

権 利 存 続 期 間 8年10ヶ月(平30.11.5)

権利化情報  出願日/平10.11.5 公開日/平12.5.26 登録日/平19.2.23

用語解説 
アモルファス 非晶質。多くの物質の場合、電気伝導率や光透過性、強度等の物理性能が結晶質と異なることが多い
PVD 表面に薄膜を形成する方法の1つ。蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング等、幾つもの方法がある
プラズマ 気体の温度が上昇すると電子が原子から離れ、電離と呼ばれる状態になった気体のこと
比磨耗量 磨耗試験で求めた磨耗量を、試験荷重・試験速度・試験時間で除した値

参考情報 
・特許流通アドバイザーによる推薦
・アドバイザー名:山口県 尾山 昇
・IPC:C23C 14/06
参照可能な特許流通支援チャート
    :15年度 化学18 金属表面の硬質皮膜形成技術(PVD・CVD・溶射法)
    :16年度 機械14 エコマシニング

原稿作成 
吉田 邦雄  システム・インテグレーション株式会社 PDF