エマルジョンの粒子径と微粒子の分布を均一にする方法、及び、それに用いるデバイスの加工法に特徴がある


エマルジョンは乳化剤分子に取り巻かれたポリマーの微粒子が水の中に共存する状態を言い、工業的にも利用価値は大きい。この微細な微粒子(マイクロスフィアと呼ぶ)を均一な大きさで均一に分布させることは大変難しいが、そのノウハウを確立したのがこの製造パテントである。フォトリソグラフィを利用した精密加工手法を使って基板に1ミクロンレベルの大きさの一定幅一定深さで微細なマイクロチャネルの溝を加工し、その溝に、分散相のエマルジョンを加圧して強制的に送り込み通すことで、ほぼ完全な球体のマイクロスファイアが均一に共存する連続相のエマルジョンが得られる。原理的に膜の細穴より大きい物は製造できないので、微細なエマルジョンを作るには微細な溝を通す必要がある。この微細な溝に連続して仕切り壁をもうけることによりほぼ完全な球体に成長するまで隣接するマイクロチャネルにて生成されたマイクロスフイアと接触し合体することがないので、微細で均一なエマルジョンが製造される。マイクロチャネルを通すために掛ける圧力を高めることで、全てのマイクロチャネルがエマルジョン製造に関与するので、エマルジョンの製造効率を向上させることが出来る。
ユーザー業界 概  要

繊維・紙
繊維・紙
化学・薬品
化学・薬品
有機材料
有機材料
均質なエマルジョン作り
  ○径がそろい分布も均質な微粒子の エマルジョン液が製造できる

食品・バイオ
食品・バイオ
新食感菓子
  ○第2相を微細かつ均質に分散させ て新しい食感のケーキ、菓子が出 来る

関連特許 あり
事業実績条件 ・実施段階:実施無し
・技術導入時の技術指導の有無:応相談
・ノウハウ提供:応相談
・ライセンス制約条件:許諾のみ
参考情報 フィルムや印画紙へのエマルジョン液の塗布の歴史は古いが、デジタル製品の拡大に伴いエマルジョン塗布産業は増えつつあり、その市場の成長度もますます大きく、大いに注目される技術となっている。エマルジョン内に浮遊共存する粒子(マイクロスフィア)の大きさや分布密度を揃えることは難しく、従来から、期待されていたが十分ではなく、ある程度の品質で我慢されてきた。本特許技術を駆使することより、エマルジョンを塗布した製品の品質が向上し、加工歩留も安定し、生産性も上がる。マイクロスフィアの大きさと分布密度を揃えるキー技術は分散相を通すデバイスの形状と加工方法にあるが、加工は半導体加工技術として進歩したフォトリソグラフィ、いわゆる微細エッチング加工技術を駆使しており、時代の最先端を行くマイクロ加工技術と言える。デバイスの形状と構造は発明者の研究の成果であり、微妙な設計理論に裏打ちされている。



タイトル
(ライセンス情報)
マイクロチャネルに仕切壁を設け、微細で均一なマイクロスフィアが混合されたエマルションを製造

特許権者   独立行政法人食品総合研究所、
生物系特定産業技術研究推進機構

ライセンス情報番号 L2001008875

お問い合わせ先

社団法人農林水産技術情報協会
特許情報部 技術主幹 松田 俊夫
〒103-0026
東京都中央区日本橋兜町15−6 製粉会館6F
TEL:03-3667-8931 FAX:03-3667-8933
E-mail:tokkyo@afftis.or.jp



出願番号 特願平10-262849

公開番号 特開2000-084384

特許番号 特許3012608

権 利 存 続 期 間 14年3ヶ月(平30.9.17満了)

権利化情報 
出願日/平10.9.17  公開日/平12.3.28  登録日/平11.12.10 

用語解説  
エマルジョン ・親水性と親油性のある乳化剤が付着したポリマ粒子が安定的に水中に存在したもの。大きさは1μ前後
マイクロスフィア ・乳液状のエマルジョンの中に存在する乳化剤に取り巻かれた一つ一つの粒子のことを言う
マイクロチャネル ・溝幅も溝深さも1ミクロン前後の微細寸法の複数の溝をもつ液体の流れを通すデバイスのこと
フォトリソグラフィー ・ネガの陰影に対応させて腐食(エッチング)する加工のことで、半導体パターン作りに使われている
連続相と分散相 ・水中にマイクロスフィアが均一に混合したものを連続相、不均一やまばらなものを分散相と言う

参考情報  
参照可能な特許流通支援チャート
  :14年度 機械7 MEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システムズ)技術

原稿作成  
角南 英八郎  有限会社知財情報研究所 PDF