納豆から生まれた天然系の安全で環境にやさしい多用途万能新素材。不要時の廃棄にコストがかからない


ポリ(γ−グルタミン酸)は納豆の粘り成分に由来したグルタミン酸がγ結合したポリマー構造の機能性新素材として脚光を浴びている。グルタミン酸はカルボキシ基を2個有し、それらの炭素はα位とγ位に配されている。通常の蛋白質ではアミノ酸同士が結合する際、一方のアミノ酸のアミノ基と他方のアミノ酸のカルボキシ基のα位炭素とが順次結合してポリマーを成すが、当該ポリマーではγ位の炭素と結合している。このため、通常の蛋白質にはない諸特性を示すものと考えられる。当該素材は食品、化粧品、医薬品、繊維、工業用途等幅広く応用できる。更に成形性を付与することにより従来のプラスティックに代替できる。その目的でナトリウムやカリウムなどのアルカリ土類金属やアンモニウムなどを添加しほぼ目的を成し得たが、未だ吸湿性が高く、柔軟性に乏しい難点があった。この改良のため、ポリ(γ−グルタミン酸)のγ位にキトサンアミンポリマー、尿素あるいはグアニジン塩類等を化学的に結合させ、これとポリ(γ−グルタミン酸)とを所定の比率で配合すると新たな複合体が形成され、十分な成形性が得られた。吸湿性がなく柔軟性の高い従来のプラスティックに勝るとも劣らない機能性新素材が得られた。
ユーザー業界 概  要

化学・薬品
化学・薬品
食品・バイオ
食品・バイオ
カプセル
  ○コラーゲンの代替でBSE回避

粘稠剤/増粘剤
  ○カラギーナンなど高分子の代替

生活・文化
生活・文化
化粧品
  ○クリームなどのベース

繊維・紙
繊維・紙
有機材料
有機材料
生分解性フィルム
  ○廃棄が容易な生分解性素材

電気・電子
電気・電子
有機材料
有機材料
電子素材
  ○廃棄が容易な電子部品基材

関連特許 あり
事業実績条件 ・実施段階:実施無し
・技術導入時の技術指導の有無:応相談
・ノウハウ提供:応相談
・ライセンス制約条件:許諾のみ
参考情報 納豆の糸の粘り成分であるポリ(γ-グルタミン酸)は機能性新素材として幅広く応用されつつある。本来食品素材に由来するため、安全性が高く食品、化粧品、医薬品へ応用できる。すなわち、保水性や粘稠性等の特性により食品や化粧品の保水成分、粘稠剤、紙おむつや土壌改質剤などの吸水素材とできる。化学処理により石油化学樹脂に代わる機能も求められる。また、医薬品や健康食品で使うカプセル素材は従来牛コラーゲンが主流であったがBSE問題により他生物のコラーゲンや糖質に代替されつつある。しかし、材料の特性や生産量等の制限により保存安定性や価格に難点があるためこれに代替できる。特に柔軟性に優れ割れやすい糖質製カプセルに代替できる。本素材は生来の性質として生分解性を求めることができる。また、不要時にはグルタミン酸の再抽出原料とでき、廃棄の場合に必ずしも燃焼によらず生物的な静的処理が可能である。



タイトル
(ライセンス情報)
安定な膜成形物を与える「ポリ(γ−グルタミン酸)塩複合体とその製造方法」

特許権者   財団法人福岡県産業・科学技術振興財団、
福岡県

ライセンス情報番号 L1998010177

お問い合わせ先

福岡県工業技術センター
企画管理部 研究企画課 
研究員 井手 誠二
〒818-8540
福岡県筑紫野市上古賀3丁目2−1
TEL:092-925-7721 FAX:092-925-7724
E-mail:ide@fitc.pref.fukuoka.jp



出願番号 特願平08-248878

公開番号 特開平10-077342

特許番号 特許3647989

権 利 存 続 期 間 11年2ヶ月(平28.8.30満了)

権利化情報 
出願日/平8.8.30  公開日/平10.3.24  登録日/平17.2.18 

用語解説  
生分解性 ・生体内や微生物等により容易に分解される性質。生分解性素材製品は廃棄時に微生物等で容易に分解できる
キトサン ・甲殻類などから得られる高分子化合物。機能性食品・医薬品素材として応用されている
γ−位 ・通常の蛋白質ではアミノ基とα-位のカルボキシ基の炭素が結合するが当該物質はγ−位のそれとが結合

参考情報  
 
 

原稿作成  
大林 清一  日本アイアール株式会社 PDF