三次元実体モデル(特に手術シミュレーションに有用な三次元実体モデル)およびその製造方法

開放特許情報番号
L2022000390
開放特許情報登録日
2022/3/14
最新更新日
2022/3/14

基本情報

出願番号 特願2016-226748
出願日 2016/11/22
出願人 上田 晃一
公開番号 特開2017-107189
公開日 2017/6/15
登録番号 特許第6529950号
特許権者 上田 晃一
発明の名称 三次元実体モデルおよびその製造方法
技術分野 機械・加工、化学・薬品、有機材料
機能 材料・素材の製造、安全・福祉対策、その他
適用製品 あらゆるヒトの身体部位(例えば、乳房、口唇、外鼻、眼瞼、耳介、顔面、およびその他の皮膚構造体)と同等の形状を付与された三次元実体モデル(または実体ソフトモデル)
目的 ヒトの実際の身体部位における手術によく近似した手術シミュレーションを行うことができる三次元実体モデルを提供すること。感触がヒトの実際の身体部位とよく近似した三次元実体モデルを提供すること。医師の手術練習に十分に貢献することができる三次元実体モデルを提供すること。実際の手術によく適合する手術計画を立てることができる三次元実体モデルを提供すること。
効果 本特許に係る三次元実体モデルを用いると、ヒトの実際の身体部位における手術によく近似した手術シミュレーションを行うことができる。詳しくは、本特許に係る三次元実体モデルは、感触がヒトの実際の身体部位とよく近似しており、医師の手術練習に十分に貢献することができる。また本特許に係る三次元実体モデルを用いると、実際の手術によく適合する手術計画を立案することができる。さらに本特許に係る三次元実体モデルを用いて模擬手術を行うことにより、手術後の変形の程度を知ることができる。
技術概要
本特許に係る三次元実体モデルは、弾性材料を含む表面層;および該表面層と隣接して配置され、前記表面層を構成する弾性材料の弾性率よりも大きいまたは小さい弾性率を有する弾性材料を含む下層;を含み、ヒトの身体部位と同等の形状を有している。下層を構成する弾性材料の弾性率と、表面層を構成する弾性材料の弾性率との関係について、それらの差の絶対値は1.0×105〜5.0×105Paであってもよいし、または下層を構成する弾性材料の弾性率は表面層を構成する弾性材料の弾性率の1〜80%または110〜500%の範囲内であってもよい。表面層の厚みは0.1〜30mmであってもよい。表面層は下層から離接可能に一体化されていてもよい。表面層は取り換え可能であってもよい。
本特許に係る三次元実体モデルは下層の表面層側とは反対側に配置される深層をさらに含んでもよい。本特許に係る三次元実体モデルにおいて、深層は25℃で液体状態の物質から構成されていてもよい。
イメージ図
実施実績 【有】   
許諾実績 【無】   
特許権譲渡 【否】
特許権実施許諾 【可】
希望譲渡先(国内) 【可】 

アピール情報

導入メリット 【改善】
改善効果1 本特許に係る三次元実体モデルは、感触がヒトの実際の身体部位とよく近似しているため、メスで切開するときの感触も、切開部を縫合するときの感触も、ヒトの実際の身体部位とよく近似している。
本特許に係る三次元実体モデルは、感触がヒトの実際の身体部位とよく近似しているため、手術時の下垂形状も、手術により病巣を除去するときの適切な除去体積も、除去された部位にシリコーンまたは自家組織などの材料を充填するときの適切な充填体積も、ヒトの実際の身体部位とよく近似している。
改善効果2 本特許に係る三次元実体モデルは、予め腫瘍を付与されることにより、実際の手術により一層、近似した手術シミュレーションを行うことができる。例えば、本特許に係る三次元実体モデルを用いて腫瘍を切除するための手術シミュレーションを行うことにより、皮弁形成術などの医師のデザイン能力の向上に貢献できる。また例えば、実際の手術前に、病巣を除去するときの適切な除去体積、除去された部位にシリコーンまたは自家組織などの材料を充填するときの適切な充填体積、手術後の変形の程度、および手術後の下垂形状を予め知ることができる。
改善効果3 本特許に係る実体モデルは、特定の同じ形状のものを大量生産することにより、医師育成のための教材として有用である。
本特許に係る実体モデルはまた、注文生産により、患者ごとに異なる先天的または後天的な障害部位(例えば、口唇裂部位)の形状を容易に付与することができるため、細部まで個々の患者に応じた手術計画を立案することができる。例えば、口唇裂部位を有する口唇モデルは、後述する注型−積層法において、下層の形成時に成形面に口唇裂部位に対応する形状を付与された型を使用すればよい。
アピール内容 本特許に係る三次元実体モデルは、感触がヒトの実際の身体部位とよく近似しているので、以下の効果を奏し得る。本特許に係る三次元実体モデルを用いると、ヒトの実際の身体部位における手術によく近似した手術シミュレーションを行うことができる。本特許に係る三次元実体モデルは、医師の手術練習に十分に貢献することができる。本特許に係る三次元実体モデルを用いると、実際の手術によく適合する手術計画を立案することができる。本特許に係る三次元実体モデルを用いて模擬手術を行うことにより、手術後の変形の程度を知ることができる。本特許に係る三次元実体モデルは、メスで切開するときの感触も、切開部を縫合するときの感触も、ヒトの実際の身体部位とよく近似している。本特許に係る三次元実体モデルは、手術時の下垂形状も、手術により病巣を除去するときの適切な除去体積も、除去された部位にシリコーンまたは自家組織などの材料を充填するときの適切な充填体積も、ヒトの実際の身体部位とよく近似している。本特許に係る三次元実体モデルは、予め腫瘍を付与されることにより、実際の手術により一層、近似した手術シミュレーションを行うことができる。例えば、本特許に係る三次元実体モデルを用いて腫瘍を切除するための手術シミュレーションを行うことにより、皮弁形成術などの医師のデザイン能力の向上に貢献できる。また例えば、実際の手術前に、病巣を除去するときの適切な除去体積、除去された部位にシリコーンまたは自家組織などの材料を充填するときの適切な充填体積、手術後の変形の程度、および手術後の下垂形状を予め知ることができる。本特許に係る実体モデルは、大量生産されてもよいし、または注文生産(個別生産)されてもよい。本特許に係る実体モデルが、注文生産される場合、患者ごとに異なる先天的または後天的な障害部位(例えば、口唇裂部位)の形状を容易に付与することができるため、細部まで個々の患者に応じた手術計画を立案することができる。例えば、口唇裂部位を有する口唇モデルは、注型−積層法において、下層の形成時に成形面に口唇裂部位に対応する形状を付与された型を使用すればよい。本特許に係る実体モデルは、上記のような効果を踏まえ、遠隔医療に大いに貢献することができる。
出展実績 第23回日本バーチャルリアリティ学会大会論文集(2018年9月)、「三次元実体モデルと複合現実デバイスによる手術シミュレーションと遠隔医療への応用」、大阪医科大学形成外科学教室、上田晃一等
われわれは硬(骨)組織モデルの上に人体に近似した皮膚および皮下組織で被覆された三次元モデルを開発した。さらにHoloLensを用いて、その上に三次元の血管造影像や顔面骨、目標とする顔貌を投影することにより、より正確な手術計画、医師の教育が可能となることを確証した。またモデルを用いて遠隔地の医療機関とHoloLensをSkypeで接続し、手術指導や手術シミュレーションを行うことが可能となることを実証した。

登録者情報

登録者名称 青山特許事務所

技術供与

掲載された学会誌 【有】
掲載学会誌名1 Ueda K, et al.、三次元コンピュータ支援による2層弾性顔面モデル、Plast Reconstr Surg. 2017;140:983−986.
掲載学会誌名2 Okamoto T, et al.、局所皮弁の外科的計画のための3D分離可能な2層弾性顔面モデル、Plast Reconstr Surg Glob Open. 2018;6:e1857.
掲載学会誌名3 Ueda K, et al.、先天性異常のための3D3層モデルを使用したシミュレーション手術、Plast Reconstr Surg Glob Open. 2020;8:e3072.

事業化情報

質的条件
事業化実績 【無】 

その他の情報

その他の提供特許
登録番号1 特許第6905945号
関連特許
国内 【有】
国外 【無】   
試作品評価 【可】
追加情報 本特許に係る三次元実体モデル上に2Dもしくは3Dの画像情報、あるいは動画情報を投影することにより、より正確な手術シミュレーションが可能となる。また将来の遠隔医療の支援のために、本特許に係る三次元実体モデルと複合現実デバイスを用いて、動画情報を共有できるかについて試みた。[方法]顔面モデルに局所皮弁のデザインを行い、切開と皮弁移動、縫合操作を加え、それぞれの過程で3Dカメラにて記録し、複合現実デバイスホロレンズ上のホログラムとしてモデル上に投影した。また2台のホロレンズを用いて高知県の病院と大阪府高槻市の病院の間をスカイプで接続し、三次元実体モデルを模擬患者として動画情報を共有し、手術の支援の実証実験を行った。[結果]ホロレンズを用いると、術野から視線を別のところへ移すことなく、手術操作を進めることができる点や三次元映像が投影できる点など様々な利点があることが分かった。また遠隔医療の実証実験では、視野にマーキングを行うテレストレーション機能や画像を貼り付けることが可能で様々な手術支援が可能であることが確認された。(第23回日本バーチャルリアリティ学会大会論文集(2018年9月))
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