目的
緊急手術が必要となる絞扼性腸閉塞と、保存的治療を選択し得る癒着性(単純性、非絞扼性)腸閉塞との正確かつ迅速な鑑別を行うことを目的とする。
効果
腸閉塞は腹部救急疾患の約1/10を占める頻度の高い疾患である。
腸閉塞の1/5は血流障害を伴う絞扼性腸閉塞であり、短期間のうちに腸管壊死から腹膜炎、敗血症に進展し、死に至ることもある。
重篤な疾患であるにも関わらず、腹部理学的所見、血液生化学的検査に異常を示さない症例が多く、診断の遅れに関する裁判が頻発している。腹部造影CTによる診断を行うが、その診断は腸閉塞診療に十分な経験がない医師にとっては容易ではない。
本発明により、腹部救急疾患、特に夜間救急診療に携わる医師に大きな恩恵を与えることができる。
技術概要
1)絞扼性腸閉塞を疑う患者から末梢血を1 ml採取する。
2)循環DNAを抽出する(キアゲンのキットを使用すると60分)。
3)電気泳動を行い、1000bp以上の循環DNA量(long fragment 量)を測定する(BioAnalyzerを使用すると5分)。
絞扼のない症例では、健常者と同様に100bp以下と10000bp以上のマーカーに加えて180bp付近にピークを見るのみであるが、絞扼がある症例では多数のピークを認め、1000bp以上のlong fragmentが多数存在することが一目瞭然である。
改善効果1
本発明を用いて、腸閉塞の患者の中から、絞扼性腸閉塞の患者を速やかに診断した場合には、直ちに開腹手術を行い、血流障害の原因(多くは腸管の捻転か炎症性索状物による血管の絞扼)を除去することで術後の合併症を起こすこともなく、回復可能となる。
改善効果2
腹部救急疾患の中では心筋梗塞(心窩部痛を腹部疾患と判断した誤診)に次いで訴訟が多い。訴訟は死亡例にとどまらず、救命されたのにもかかわらず診断の遅れから腸管切除が必要になったという案件もあり、このような訴訟が起こることを防ぐことができる。
アピール内容
1)末梢血を使用するため、低侵襲であり、低コストで診断が可能となる。
2)絞扼性腸閉塞の迅速診断法は存在せず、競合技術は存在しない。
3)循環DNAは注目を集めている新技術であり、本発明に基づきキット化が可能となれば、今後癌診療を始めとして様々な分野に応用される可能性が高い。