技術概要
 |
図1は、スピン記録方法の動作原理を説明するための模式図であり、(A)は、計測前の状態を示す図、(B)は、計測時の状態を示す図である。図1(A)に示すように、計測前、つまり、探針3と基板との距離が大きい場合、探針3と各孤立スピンとの間に相互作用が働かないため、各ビットのスピン状態は不明である。図1では、不明であるスピン状態を「up」または「down」で表記している。また、探針3は、既知の特定方向(ここでは、例えば、ダウン)のスピンを持っている。図1(B)に示すように、探針3と基板との距離が小さくなると、探針3と最も近いビット1aについて、両者の相互作用を通じて、スピンの状態(方向)が決定される。しかし、探針3と基板とが近づき過ぎると、探針3と各ビット1との間で電子のトンネルが生じるため、各ビット1上のスピン状態を決定できなくなる。したがって、計測に際しては、探針3と基板との距離を電子のトンネルが生じない距離に保ちつつ、探針3と各ビット1との間の「ポテンシャル」を、例えば、探針3の周波数変調などを通じて測定する。計測後は、探針3を基板から離す。このプロセスにより、各ビット1上のスピン状態を計測する。 |